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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

日々の出来事 13

ハレとケ

 静岡市の西部に、丸子、という地名がある。これは「マルコ」ではなく「マリコ」と読み、古くは「鞠子」と書いて、東海道の20番目の宿場であった。去年の暮れに宇津ノ谷峠に遊びにいったことなどを、このブログに書かせていただいたが(こちらです。「日々の出来事 7」)、その宇津ノ谷峠というのは、この鞠子宿と、次の宿場である岡部宿との間に位置している。

 で、先日、この丸子で「丸子宿場祭り」というのが開催された。私は今現在、この丸子という町の隣の町に住んでいるので、歩いて遊びにいけるし、なんだか面白そうなので、ちょっと家族で出掛けてみた。



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 ここからが、お祭り会場である。旧東海道の、ここから1kmほどの区間を車両通行止めとし、街道とその両側の町並み全体を、お祭り会場にしてしまっている訳で、つまり、神社の境内だとか、公園だとかではない、普段の生活の場がお祭り会場なのである。すると、どういうことになるのか。

 ハレとケ、という考え方がある。ざっくりいってしまうと、ケ、とはつまり日常、そしてハレとは、非日常である。それをこのお祭りに当て嵌めると、普段はケのあるべき場所に、突発的にハレの場があらわれたと、そんな具合なのである。

 前述のようにここは旧東海道であり、また、旧国道一号線、でもある。現在国道としての機能を担っているのは、主に国道一号静清バイパスであり、本来の国道一号は、ほとんど県道のような役割を果たしている。よってこの旧東海道線は、市道というか、渋滞時の抜け道というか、ほとんどちょっと広い生活道路のような扱いになっているのであるが、その分だけ、そこに住む人びとの生活というものに深く結びついてる、とはいえるだろう。その道が、お祭り会場になった訳である。具体的にいえば、そんな感じだ。

 で、こうなる。



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 道ばたで、文字通り歌えや踊れやの大騒ぎである。



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 人力車も通れば、



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 ドイツの高級車も、この有様。

 ただ、普段は前述のごとく、抜け道として車でビュンと通るばかりの街を、ゆっくり歩いてみると、その町並みになかなかの情緒があることに気付かされる。



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 これは、創業が慶長元年(1596年)という、とろろ汁の「丁子屋」さん。何と、広重の「東海道五十三次、丸子」に描かれている、あの丁子屋である。



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 まさに、これ。すごいものである。

 中には、自家の所蔵するひな人形を公開しているお宅もあった。

 

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 ぶら下がっているのは、吊るし雛、というもの。お雛様と一緒に飾ると、華やかさがましていい。元は、伊豆半島の稲取というところの文化であるらしい。

 祭りのメインイベントということで、「花魁道中」なるものがアナウンスされていた。花街でもあるまいに、街道の宿場町で花魁はないだろう、などと思っていたのだが、妻が見たがるので、時間までやきそばなどを食べて待ってみた。



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 これは、なかなかのものであった。花魁を演じているのは、そこらの造作のいいだけのおねえちゃんではない。小池亮介君という舞台俳優さんであり、なんと16歳の少年である。その所作だとか、目つきだとかの妖艶さというか、色っぽさというものは、もう驚くべきものがあった。それもそのはず、かなり有名な俳優さんらしい。私はまるきり疎く、よく知らないのであるが、あの様子を目の当たりにすれば、なるほど納得である。



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 さすがプロ、である。道中が始まったとたんに、祭り全体の雰囲気が一変し、真っ昼間だというのに何やら怪しげな雰囲気に包まれてしまった気もした。まさに、ハレの場が極まった、というところであろうか。

 私は地元静岡を、ずっと無味乾燥でつまらない街だと思ってきたのだが、最近、意外に情緒の豊かな街なのではないか、などと思うようになってきた。歳をとって、興味の対象だとか、眼につくものだとかがかわってきたのかもしれない。まあ、どうあれ、自分の故郷を「新しくみること」は、心楽しいことではある。



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 丸子は、梅園も有名。桜の季節も、もうすぐだ。

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コメント


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興味深いです。静岡も面白いですよね。

『ハレ』と『ケ』については、コメントすると長くなりそうなので、自重します。

この記事での
地域の歴史の捉え方がすごく興味深いです。
自分のブログでも真似してみようかと思っています。

kappamama | URL | 2012-03-02(Fri)22:42 [編集]


Re:kappamama さん

kappamama さん、こんにちは。

静岡という土地は、古くから東西を結ぶ街道の通り道であり、また徳川家康ゆかりの地でありと、なかなか歴史のある街なのですが、どうも、私はそういうところを見てきませんでした。
若かった、ということでしょうか。
本当に最近なんです、地元のこういう古いものだとか、古くから今日につながるものだとかに興味を向けはじめたのは。
歳をとったということでしょうか(笑)

「ハレとケ」については、かなり「通俗的」な意味で使ってしまいました。
なぜなら、「通俗的」な意味でしか理解していないからです。
この言葉がもつ本来の深く広範な意味について、私はほとんど知りません。
つまりは、それが「地元の歴史」を疎かにしてきた、ということなのでしょう。

学ぶべきものは、たくさんあるようです。
コメント、ありがとうございました。

静磨 | URL | 2012-03-03(Sat)01:09 [編集]


こんばんは、初めてコメントします。

丸子宿にお住まいだったんですねー。丁子屋さん、何と懐かしい。以前、名古屋から食べに行きましたよ。(一度目は運の悪い事に何かの事情でお休み中、1年後のリターンマッチで頂きました。)

良い街じゃないですか。

舞狂小鬼 | URL | 2012-03-03(Sat)20:29 [編集]


Re: 舞狂小鬼 さん

舞狂小鬼 さん、はじめまして。

住んでいるのは・・・丸子の隣の町です(笑) 
でも、丸子もきっちり生活圏内です。
ただ、丁子屋さんには、実は行ったことがなかったりするんです。あまりにも地元すぎるということでしょうかねえ。東京のひとが東京タワーに登ったりしない、みたいな感じで。

しかし、せっかく名古屋から遊びにきてくれたのに休みだったというのは・・・何だか地元民として申し訳ないです。でも一年後にまた来てくださるとは・・・これまた地元民としてとても嬉しいですね(笑)
こりずに、また遊びにきてやってください。

コメントありがとうございました。

静磨 | URL | 2012-03-04(Sun)02:29 [編集]


こんにちは

すてきなお祭りですね。
お祭りの様子が伝わってきます。
静岡は、宿場町が、いっぱいあるでしょうから
丁子屋さんみたいなお店もあちこちに残って
いるのでしょうか?
日本の昔に想いを馳せることができるなんて!


ひよっこ | URL | 2012-03-04(Sun)15:59 [編集]


Re: ひよっこさん

ひよっこさん、はじめまして。
いつもご訪問いただき、ありがとうございます。

このお祭り自体には、どうもそんなに長い歴史はないようなのですが、町全体で盛り上げようという雰囲気が感じられ、とてもよいイベントになっていました。

おっしゃる通り、静岡という土地は、古来、東西を連絡する位置にあるわけで、現在においてもその地理的な特徴はかわっていません。
ただそれは、残念ながら古いものをそのまま残すというよりは、時代に合わせて古いものを新しくしていく必要を生んだようで、歴史的な町並みが大規模に残ってる、という場所はあまりありません。
それだけになおさら、丁子屋さんとか、「東海道中膝栗毛」にでてくる安倍川餅屋さんが、いまだに残っている、ということが嬉しく感じられますね。

コメントありがとうございました。

静磨 | URL | 2012-03-05(Mon)10:45 [編集]