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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

またまたアンティークチェアを買う


 またまたアンティークチェアを買う


 また買いました(笑) ただ今回は、過去に何脚かの椅子を買っているアンティークショップの、オークションイベントで落札したもので、なんと落札価格は破格の8000円。これは、IKEAやニトリでも、ちょっと良さそうな椅子ならば普通にみられる値段である。いやあ、いい買い物ができた。しかし、安いといってもはっせんえんという金額は、自動車税だの家の火災保険だのカブの自賠責の支払いに、子供部屋のエアコンの新規購入という臨時出費まで重なったという、危機的状況下にある私の財布から、特に必要でもない椅子のために捻出する出費としては極めて大きなものであり、あんまり妻の前で椅子を眺めてニタニタしている訳にもいかないのは苦しいところであるが。




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 これがその、このたび新規購入した椅子である。形は、今年の正月に購入したものと同じ、「ホイールバック」である。




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 その以前買ったものに比して、全体に重厚な感じ。実際持ってみると明らかに重さがある。




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 並べてみる。右が今回買ったもの。全高は同じくらいだが、座面は以前買ったものよりも高い。そして、




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 座板の厚さにかなり差がある。これが、全体の重さに大きく影響しているようである。




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 この座板、写真ではちょっとわかりにくいが、よく見ると薄い板を幾層か重ねた合板であった。一枚板ではないのである。ここで私、おや?と思ったのだが、まあ、ひき続き細部をみてみよう。実は今回は、webサイト上のオークションで落札したので、私も自宅に持ち帰るまでは細部の確認ができなかったのである。





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 まずは、背もたれ。典型的な「ホイールバック」の形状ではある。しかし、なんとなくズングリムックリ感がある。前述のとおり、全高の割に座板が高いので、そのぶんだけ背もたれの高さが比較的低い、ということも勿論、そのずんぐりした印象を裏付けてはいるのだが、




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 この背板が、ご覧の通り角を丸く仕上げられたものであることもまた、ズングリムックリ感を助長している。




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 後ろから。ブレイシングスッティック等、その形自体はベーシックなものだが、やはり、背もたれの低さのために、各部材が「寸足らず」な印象を受ける。




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 そして、この座板。ウィンザーチェアの座板は、尻の形に削られているのが一般的なのだが、これは、エクボのように丸くへこんでいるだけである。




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 別角度から。このほうがわかりやすいかな。




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 座板を裏面から。これもちょっと写真ではわかりにくいが、なんと、上面のへこみ分、裏面に出っ張っている。これはつまり、座板のへこみが削り加工ではなく、プレスして変形させることによって形作られていることを意味する。一枚板ではなく、合板である以上、こうする以外にはないという訳である。




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 さらに驚いたのは、この刻印であった。消えかかってしまっている為、もしくは、最初から刻印が薄いために読みにくいが、確かに「ROMANIA」と読める。ルーマニア??

 この椅子を買ったお店は、買い付けはイギリスで行っているはずなので、疑問に思ってちょっと調べてみたら、ある別のアンティークショップの通販サイトに、ほぼ同じ形の椅子をみつけた。そこの商品説明によると、要するにこれは、ルーマニアで作られ、そしてイギリスに輸出されたウィンザーチェアだ、ということらしい。

 本来イギリスの産物であり、しかもイギリスで使用されるものであるはずのウィンザーチェアが、何故わざわざルーマニアで作られ、イギリスにやってきたのか。その製法や仕上がりをみる限りで判断すると、残念ながら、これは「外国産の粗悪品」の部類に入るのかな、と思われる。つまり、きっと人件費等の経費が安いルーマニアで、国産(英国産)よりも安い製品を作ろうという意図のもとに生み出された椅子、ということである。

 ただこれは無論、ルーマニアの家具産業のレベルが低い、ということを意味するものではない。ざっと調べただけでも、「ルーマニア家具」というものはひとつのジャンルとして存立可能な水準にある文化であると思われる。イギリスが他の国ではなくルーマニアを選んだのは、その製造技術の高さに比して安上がりに作ることができる、という理由に寄ったのではなかろうか。つまり、完成度よりは、安価に大量生産することに主眼が置かれた製品だ、ということである。無論ここに書いたことは全て私の勝手な想像にすぎないけれども。




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 背もたれを比較。左が英国産で、右がルーマニア産。ルーマニア産の方は、座り心地があまりよくない。背もたれの角度が悪い(立ち過ぎている)ということもあるが、それよりも、アーチ形の「背枠」の角度と、背板や背棒の角度とがちぐはぐなのが、その座り心地の悪さを生み出しているようである。

 ネットであれこれ調べた限りでは、どうやらこれは1950年代から60年代ぐらいのもののようである。アンティークと呼ぶにはちょっと新しいかもしれない。ただ、ウィンザーチェアといえばイギリスかアメリカ製、そうでなければ北欧か、もしくは日本製、というのが主流だと思われるなかで、ルーマニア製という、なんというか変化球的な品物だった、というのはなんとも面白い話ではある。

 20世紀の中頃というと、東西冷戦の時代ということになるが、共産圏の国であった東欧のルーマニアと、NATO陣営の中心的存在である英国との間に、家具の貿易関係があったというのは面白い。このあたりのことについて、調べてみるのも良いかもしれない。

 お店の方のお話によると、長期在庫で塗装がちょっと傷み始めているそうなので、今後、もしかしたら自分で塗りなおしなどをするかもしれない。いずれにせよ、せっかく安価で入手した椅子なので、ちょっと遊んでみようか、とは思っている。



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