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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

勝間田城 


 勝間田城 

 


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 九月のシルバーウィークのある日、夜明け直後。お茶畑のひろがりと、彼方に、富士山の姿。場所は、静岡空港のそば、静岡茶の一大産地、牧之原の茶園である。




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 今回の目的地はここ、「勝間田城跡」である。場所は、静岡空港の近く、県道233号線を空港のほうから南下して、島田市と牧之原市との市境を越えて少し行った辺りから向って右手の小高い山に入っていった辺り、である。……と、地元民でもわかりにくいような説明だが、正直、とてもわかりづらいところにあって、説明のしようがないのである。住所でいうと、牧之原市観光協会のホームページによると「牧之原市勝田(これで「かつまた」と読む)2160-1」である。行ってみよう、という方は、この住所を頼りに探してみてください。私も迷いつつみつけました。一応、県道の入り口には案内看板があります。




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 駐車場にあった見取り図。尾根を利用して築かれた山城である。駐車場は谷底にあるので、城跡までは農道を少々歩かなければならない。




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 こんな感じの道。キレイに舗装された農道なので、カブで行ってしまい、入り口付近の道端に放置、なんてことも(早朝だし)できそうだったが、駐車場付近に、「この先は車では行けないよ、停める場所がないよ」と看板がたくさん立っていた。路上駐車が周囲の茶畑での農作業の邪魔になるのだろう。ここは素直に、用意された駐車場に駐輪し、てくてく歩くべきである。




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 景色もいいし、5分かそこらの距離である、歩こう(笑) 




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 真直ぐか、左の石垣の上を登っていく道か、わからなかったが、とりあえず真直ぐ行ってみる。




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 正解だった。「出曲輪跡」の看板発見。出曲輪は、城外に、あるいは城から突出するようにつくられた曲輪のことで、今年のNHK大河ドラマで話題の大阪城真田丸も、どうやらこれの一種みたいである。規模は無論比較にならないが。




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 先に進む。右手のお茶畑が、「出曲輪跡」である。




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 到着。ここが、「勝間田城跡」入り口である。では、以下に現地の説明文等を参考に、この城についての概略など。

 築城年代ははっきりしないようだが、応永年間(1394から1427年)に、勝間田定長が築城したと推定されている。勝間田氏は、平安末期からこの牧ノ原台地の東を領有、支配していた豪族で、その名が史上に初めてあらわれるのは、『保元物語』に源義朝の軍勢の一員として、であった。

 その後は、鎌倉時代には幕府の御家人としてあり、南北朝時代には南北両陣営にその名が見られる等、時代の変化を生き抜き、室町幕府の足利義満の時代には中央の役人の内に幾人かが名を連ね、活躍しているようである。

 しかし応仁の乱の渦中において、勝間田氏は遠州の斯波氏に組して、駿河の守護大名今川義忠と対立する。文明八(1476)年、義忠は軍勢を率いて勝間田城を攻囲、これを落城せしめ、勝間田氏は落ちて四散、その血統が途絶えることはまぬかれたものの、長きに渡って領有したこの地を城もろとも失う事となった。そしてこの勝間田城も歴史からその名を消す。ただ、遺構からは、落城以降にも手を加えられた形跡がみられるようなので、すぐに廃城となった訳ではなさそうである。

 では、実際に城跡をみにいこう。




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 まずみえてくるのは「三の曲輪」。写真がヘタクソでわかりにくいが、けっこうな広さがある。




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 そして右手に、「西三の曲輪」。奥の茂みのなかには、土塁もみられた。




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 こちらにも大きな土塁。この先に、




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 「二の曲輪」。とても広い。




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 「掘立柱建物跡」。この城の建物は、ほとんどこの、土台がなく地面に直接掘った穴に柱を建てる「堀立柱建物」であったようだ。




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 「堀切」。これについては、もう何度か勉強していますね(笑)、尾根筋を切って、尾根伝いに攻め登ってくる敵を防ぐもの。尾根筋に曲輪を並べた山城には必須の防御施設だといえよう。




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 道はさらに奥へ。なんだか茂みが深くなってきた。




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 右手に、「東尾根曲輪」。曲輪のまんなかに立った一本の木が印象的。




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 その「東尾根曲輪」からの眺め。富士山に雲がかかってしまった。残念。




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 右手に、「北尾根曲輪1」、だが、すみません、写真を撮り忘れました。上の写真、「北尾根曲輪2」のほうは、一応その形はわかるものの、見ての通りすっかり薮に埋もれていた。




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 そしてこの上に、




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 「本曲輪」。すなわちこの城の中核である。




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 その背後の土塁。高さは2mぐらいある。曲輪が幾重にも並ぶ城前面にくらべ、守備力の手薄な背面を補強しようというものだろうか。




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 道はさらに奥へ続く。右手の盛り上がりが、「本曲輪」の土塁を下から見上げたものである。こちらからは攻められないだろう。




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 「南曲輪」。こちらの高さもかなりのもの。




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 道はまだまだ続く。




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 どんどん細くなるけれど、道は続く。




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 蜘蛛の巣を払いつつ、この急斜面を登ると、




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 急に光が射す。




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 茶畑に出た。ここがどうやら城の搦手だろう。つまり、城跡はここまで、である。

 今川氏に勝間田城を攻め落とされた勝間田氏であったが、そのまま黙って落ちのびた訳ではなかった。敵城を攻め落とし、意気揚々と帰路についたであろう、名門今川氏の当主、今川義忠であったが、なんと、現在の菊川市にある塩買坂において、勝間田勢の残党に襲われ、矢を受けて討ち死にしてしまうのである。これによって勝間田一族の命運が好転した訳ではないけれども、文字通り一矢報いることはできたという訳だ。そしてこの室町将軍家にきわめて近い系統にある名門の当代当主の討ち死には、思わぬ形で歴史に大きく影響することとなった。

 当主の突然の死は、今川氏の家督争いを引き起こした。その詳細については割愛するが、義忠の嫡男龍王丸が最終的に家督を継ぎ、駿河今川氏七代目当主氏親となるのに尽力したのが、かの北条早雲であった。この活躍によって早雲は興国寺城を得、これを足がかりとして戦国大名としての第一歩を踏み出すに至るのである。

 と、いったところで、勝間田城趾とはお別れ。しかし今回の史跡めぐり、実はダブルヘッダーで、もうひとつ、城跡に行ったのであった。そちらについては、次回をお楽しみに。それでは。



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