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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

ネコと夜間走行

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 国道20号。東京都内では、あんなにも交通量の多いあの「甲州街道」も、山梨県も韮崎市よりも北の辺りになると、山々を背景に美しい田園地帯を抜けていくカントリーロードに、すっかり様変わりしてしまう。その国道20号を、時々、仕事で走ることがある。勿論、夜中に。

 その灯りも乏しい真夜中の国道20号に、8トン車を走らせていたあるとき、ヘッドライトの明るみのなかに、突然、悠々と歩くトラネコがあらわれた。ブレーキ、そしてハンドルを右へ。反対車線に大きくはみ出す形でトラックが停止したときには、運転台が、よけようともしないトラネコの真横あたりにあった。

 以前あるネット掲示板で、「トラック運転手になるには、飛び出してきたネコを轢き殺してしまう勇気が必要だ」、というのを読んだことがあったが、図らずもそれを痛感させられた出来事ではあった。様々な幸運が、そのときは私にその「勇気」を発揮させずに済ませてくれた。道は登り坂でスピードはでておらず、しかも直線路であったから、反対車線に逃れる、という判断を冷静に下すことができたからだ。しかし、もっとスピードが出ており、しかも交通量が多かったなら、そうはいかなかったはずだ。

 急ブレーキも、急ハンドルも、荷物を積んだトラックにおいては厳禁事項である。理由は簡単、積荷がメチャクチャになるからである。荷物を運ぶことを仕事としている以上、積荷は何よりも大切なので、それを壊しかねないような運転動作は、それこそ、人命に関わるような事故を回避しなければならないとき以外は、絶対にやってはいけないのである。何せ、トラックの積荷というものは、8トン、10トンクラスのものになると、もう総額数百万円から数千万円になることは、決して珍しいことではないのだ。

 もっと交通量も多く、交通の流れも速い、例えば国道1号線などで、もし、ネコが突然飛び出したとしたならば、残念ながら、動物愛護の精神がどうあろうと、愛猫家の意見がどうあろうと、もう轢いてしまうしかない、というのが現実である。ネコのために、トラック同士の多重事故を惹起し、人命を危険にさらす訳にはいかないのだ。

 実際、私は一日に大体500kmぐらい走るが、路上にネコたちの可哀想な姿を見ない日は一日もない。たった500kmでもそうなのである。全国の道路上において、一体、一日に何匹のネコたちや、または他の動物たちが犠牲になっているのだろう。貨物自動車による陸上輸送は、勿論、現在の商業活動には絶対不可欠なものである。そしてその商業活動を営む人間の社会に生きるネコたちにとっても、それは「他人事」ではないといえるのかもしれない。しかし、だからといって日々大量のネコたちの命を奪い続けることが、正しいことだということにはならないだろう。

 今のところ、私はまだその「勇気」を発揮する機会には出会っていない。しかしネコたちの変わり果てた姿を眼にするたびに、その犠牲の重さについて思い知らされる気がする。そして私たちの生活は、他にも多くの犠牲の上に成り立っているのであり、彼らはその象徴であるような気さえするのだ。

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