FC2ブログ

乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

興国寺城 その1


 興国寺城 その1


 今年に入って、我が「カブで行く早朝お散歩史跡巡りツーリング」は西方面が続いた。そのため、同じような道ばかり走るようになってしまい、ちょっとウンザリ気味であった。しかし東方面の旧東海道めぐりはというと、次のスタートは箱根宿であり、距離的に、もう少し日の出が早くなってからにしたいところである。では次はどこへ行こうか、などと思っていたのだが、ある本を読み、よい目的地をみつけることができた。その本というのが、




siroto_convert_20160416144108.jpg

 静岡新聞社 『戦国静岡の 城と武将と合戦と』 小和田哲男著
 ISBN978-4-7838-1084-1


 これである。私の昨年夏から始まったニワカ歴史趣味は、もともとが郷土史への興味から始まっているので、これはまさしくドンピシャリな本であった。つまり、最近訪れた、静岡県内の城である高天神城だの横須賀城だのを舞台にした歴史的出来事を対象としているのである。で、この本でみつけたのが、今回行った興国寺城であった。

 静岡市の自宅から、朝の4時半に出発して東へ。最初の内は幾つかの県道をたどり、旧興津宿の先辺りから国道1号線の高架道路へ。125cc以下の二輪車も走行可能だが、ほとんどの車が80km/h以上のスピードで走る高速道路みたいな道で、あまりカブ110で走りたい道ではないけれども、移動時間の短縮には絶好のルート。富士市を通過し沼津との市境を越えてすぐ、旧宿場でいうと原宿のちょうど北あたりにある原東町の交差点を左折、山の方へと向う県道165号線へ入る。道は数百メートルで、東西に国1と並行して伸びる県道22号線にぶつかるが、その丁字の交差点辺りが、目的地の興国寺城址である。自宅から、大体40分ぐらい。




IMG_0888_convert_20160416143504.jpg

 このバス停が目印だが、




IMG_0890_convert_20160416143529.jpg

 まあ、目印はあまり必要ないかも。この空き地みたいな場所、すべて城跡である。




IMG_0893_convert_20160416143558.jpg

 ちなみに、県道の南側も。この辺り、南北に長い形の興国寺城の、最南部にあたる。「三の丸跡」を、今いる県道22号が横切っている形だ。三の丸跡は、現在発掘調査中ということで、全体が立ち入り禁止であった。何か面白いものがみつかるといいね。では、城跡内へ。




IMG_0815_convert_20160416143113.jpg

 150mほど行った先の右側に、駐車スペースらしき場所。桜が見事に咲いていた。そう、いつもながらの遅筆のために、酷い時間差があるけれども、ここを訪れたのは4月の第二週の週末、丸子川の土手の桜並木を見に行った日の翌日であった(詳しくはこちら。「日々の出来事 24・春、桜花さきほこりて」)。だから、桜がとてもキレイだったのである。




IMG_0818_convert_20160416143209.jpg

 その駐車場から南側を眺める。この辺りが「二の丸跡」か。春霞でぼやけているが、天気がよければ駿河湾が一望できるはず。街並の向こうを限る、もこもこした線が、以前行った千本松原であるから、あの辺りが海岸線だ。しかし、なんだか城跡というよりも、北海道のキャンプサイトみたいだ。こんなところに朝早くバイクで来たりなんかすると、もう、北海道が懐かしくて行きたくてたまらなくなる。




IMG_0817_convert_20160416143143.jpg

 そして駐車場の西側が、「本丸跡」になる。その北のはずれにも綺麗な桜。




IMG_0819_convert_20160416143234.jpg

 その桜のなかに、




IMG_0820_convert_20160416143303.jpg

 神社がある。「穂見神社」。その拝殿の横にあるのが、




IMG_0826_convert_20160416143330.jpg

 このふたつの石碑。




IMG_0828_convert_20160416143404.jpg

 向って左が、最後の城主、「天野三郎兵衛康景」の碑。




IMG_0829_convert_20160416143434.jpg

 そして右が、「初代城主北条早雲」の碑である。

 戦国時代、というものがいつから始まったのか、というと、上掲書の著者小和田氏は、この早雲の伊豆国侵攻を、戦国時代の幕開けと捉えているようだ。ただ著者も書いている通り、応仁の乱からだとか、享徳の乱からだとか、これには諸説あるようである。戦国時代、というと特徴的で、はっきりとここからここまで、という具合に指し示すことができそうに思われるが、よくよく考えてみると、確かにどこから始まったのか判然としない部分がある。

 私はそれを室町時代、あるいは室町幕府のせいだと思っている。室町幕府というのは、何だか南北朝時代のどさくさに紛れてグダグダ始まって、戦国時代の混乱の内にいつの間にかグダグダ終わったイメージがあるからだ。そのせいで、はい、ここから戦国時代だよ、となかなか決め辛いのではないだろうか。まあ、私の勝手なイメージだけれども。

 結局、戦国時代とはいかなる時代なのかを、どう定義するのかによって、その答えも変わってくるのだろう。私としては、戦国大名が存在するのか否かというところを重視したい。すると無論今度は戦国大名とは何か、という問題が生まれてしまうわけだが、もうきりがないのでそれはここでは触れない。ただ、北条早雲こそを最初の戦国大名と位置づけ、故に彼の堀越公方攻めをもって戦国時代の端緒とする、という説は、説得力のある意見だと思う。

 しかし、戦国大名というものが誕生する「機運」というものは、きっとあの時代の日本全体にあったと考えるべきなので、彼の行動のみをもって戦国時代の幕開けとしてしまうのは少し極端かな、とも思う。取りあえずはまあ控えめに、「東海から関東周辺の」戦国時代的ムーブメントの発端、ぐらいに考えておくとしよう。

 いずれにせよ、北条早雲がこの城に本拠を構えた頃、駿河の守護はいうまでもなく今川氏であった。長享元年(1487年)に、その今川氏に家督争いがあり、その結果龍王丸が家督を継ぎ、今川氏親となったのだが、その際に尽力したのが、氏親の叔父にあたる早雲であった。それで氏親は、それに報いて居城と所領とを早雲に与えたと、簡単にいうとそういうことである。

 (時期的に、彼の生前の名のひとつである「伊勢宗瑞」などとすべきかもしれませんが、面倒なのでここでは「北条早雲」の名前を使います。「北条」も「早雲」も彼の死後の呼び名みたいだけれど。)

 氏親のねらいとしては、早雲をここに置いて、東の国境を固めよう、というものだったはずである。なぜなら、駿河の東、伊豆から関東一円こそは、まさしく室町幕府のグダグダを象徴するような事態となっていたからだ。

 その詳細はというと、これまたあまりにヤヤコシイので割愛。小和田氏の本でも読んで頂くのが一番であるが、またしても簡単にいってしまうと、本来室町幕府からの命により、鎌倉府にあって関東を治めるべき「鎌倉公方」が、なんだかんだあって二人もいる事態になっていたのである。しかも一人は下総の古河に、もう一人は伊豆の堀越にいて、それぞれ古河公方、堀越公方と呼ばれており、もう鎌倉なんかどうなっちゃったのかわからないようなグダグダぶりである。

 一応、「幕府公認」の公方は堀越のほう、ということにはなろうけれども、実質関東を牛耳っているのは古河のほうであり、堀越のほうは箱根すら越えられずに伊豆一国を支配するのがやっという有様で、しかも、後には幕府と古河公方の和睦まで成ってしまったというから、グダグダも極まれりとしかいいようもないが、この辺り、幕府の弱体化が顕在化しつつあったとするべきなのかもしれない。いずれにせよ、駿河の東がこんな不安定な有様だったのだから、氏親が、信頼でき、そして能力のある者をその国境近くに置いておきたくなる気持ちもわかろうというものである。

 こうしてこの興国寺城は、わかったようなわからないような経緯で、早雲の居城となった。そして早雲は、延徳三年(1491年)、あるいは明応二年(1493年)、この城で挙兵、伊豆の堀越御所を攻めて堀越公方足利茶々丸を討った。その理由というのがまた、今川氏配下の武将として駿河東部の平安を守るためなのか、最初から自力で自らの領国を築くつもりで行動を開始したのか、それとも室町幕府から秘密裏に指示を受けていたのか、どうも判然としないのだが、とにかく、結果からみるならばこの軍事行動が、早雲の「戦国大名」としての第一歩となったのは間違いない。

 ただ、私の興味はその後の早雲の大活躍よりも、あくまでこの興国寺城の歴史である。
と、いうことで、次回に続く。


関連記事
カブのこと 1・県道396号線 その1・富士、蒲原
カブのこと 4・鎌倉街道(徒歩0分)その1・梶原一族最期
カブのこと 6・旧東海道、静岡市内
カブのこと 8・旧東海道 安倍川から大井川
カブのこと 10・旧東海道 大井川から掛川宿
カブのこと 15・旧東海道 富士川東岸、吉原宿
カブのこと 16・旧東海道、原宿、沼津宿、三島宿、三嶋大社
カブのこと 17・旧東海道、箱根
カブのこと 19・清水港湾地区
カブのこと 26・田沼街道
カブで史跡めぐり 1・高天神城
カブで史跡めぐり 4・旧東海道 掛川市、袋井市

にほんブログ村 バイクブログ カブ系へ
にほんブログ村

スポンサーサイト



PageTop