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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

さがしもの



 以前にもちょっと書いたことがあるが、私が妻から初めてもらった贈り物は、ジッポーのオイルライターであった。



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 純銀製である。いちまんえん以上はする。

 当時私はタバコを一日最低二箱は吸っていたので、これを常に持ち歩き、使っていたのであるが、三年ほど前にタバコをやめてから、当然、全く使わなくなってしまった。それを先日、なんとなく気になって、探し始めたのであるが、なかなかみつからない。

 別にどこかへしまい込んだ訳ではなく、大型のふたつの書棚のどこかに、箱に入れて置いただけなので、すぐにみつかるはずだったのだが、その他もろもろの雑品にまぎれてしまい、なかなかみつからなかった。あちこちひっくり返してようやくみつけたとき、私は、それがみつけられなかった理由を納得した。

 私は、上の写真の青い箱を探していたのである。勿論その箱に入っていたのは確かなのだが、その上から、上の写真右の銀色の紙のスリーブをかぶせてあることをすっかり失念していた。実際には、すぐに眼につく場所にぽつんと置いてあったのに、青い箱を探し続ける私には、銀色の箱が眼に入らなかったと、つまりはそういうことだったのだ。

 なにか探し物をするときには、その探そうとしているものを、明確にイメージすることは、やはり大切だな、とあらためて思った。その顕著な例は、四つ葉のクローバー探しである。

 私が初めて四葉のクローバーをみつけたのは、2005年夏の北海道ツーリングのときであるから、もう33歳になってからのことである。多和平というところのキャンプ場で、テントのすぐ前でたまたまみつけたのだったが、それまでは、私はいくら探してもちっともみつけられなかった。子供の頃からずっとである。それなのに、その最初の発見以来、私は四つ葉探しが得意になってしまった。

 理由ははっきりしている。三つ葉の群生のなかに、四つ葉がひとつ揺れている画が、はっきりとイメージできるようになったからである。それまでは、三つ葉の集団ばかりをみて、そのひとつひとつが、四つ葉であることよりは三つ葉であることを確認するような具合で、「これもちがう、これもちがう」と、順番にみてまわっていた。これでは、たまたま四つ葉に出会う可能性はとても低くなるし、逆に、偶然四つ葉が眼に入ったとしても、三つ葉を見慣れた眼が、それを誤認して見過ごしてしまう可能性が高まってしまう。

 四つ葉のクローバーが欲しいのなら、その四つ葉の姿をはっきりとイメージして、脇目もふらず、それだけを探すべきだ。そうすれば、三つ葉の群生にも惑わされることなく、意外にあっさりみつけられるものである(勿論、あれば、の話だが。ないものはみつけられない)。

 と、なんだか安っぽい人生訓のような結論になってしまったが、事実、この「探し物をするときは、探しているものをはっきりとイメージする」ということを、30過ぎまで実感として学ぶことができなかったばかりに、今の私の中途半端な人生が形成されてしまったような気がする。自分の将来について、漠然としたイメージしか抱いてこなかった、その結末が、今のこの私である。早いうちから、はっきりとした目的をもち、そこに向けて努力ができた人が、羨ましく思う。

 中途半端な41歳である私は、所有する貴金属といえば、このジッポーと、あとは結婚指輪ぐらいのものである。だが、まあしかし、そのふたつともが、今の私の生活というものの、根幹を形作っているものの象徴のようなものであり、そうした意味では、価値あるものをふたつも持っている、ともいえるのかもしれない。

 純銀製のジッポーはやわらかく、すぐにへこんでしまう。下の写真、手前角の凹みは、子供が生まれる前に、妻と伊豆は下田の水族館に遊びに行ったときに、駐車場で落としてつけてしまった凹みである。こうした傷が、はっきりと残っていくのが、この純銀ジッポーのよいところなのだ。

 ジッポーライターというものは、構造が極めてシンプルであり、ほとんど壊れるということがなく、しかも、全商品に永久保証がついており、壊れても無償で修理してくれる。つまり、なくしたり、修理不能なまでにつぶれたりしない限りは、ずっと使えるのである。三年間放っておいた私のジッポーも、オイルを入れれば問題なく作動し、火がつく状態を維持している。アメリカという国の、きっと最もよい部分が、このライターには凝縮されているのである。
 
 中途半端な人生をおくる私が、子供たちに残してあげられるものは何もないだろうが、このジッポーだけは、息子が成人したらあげようと思っている。それまでは、大事にしまっておこう。いざ探すときのために、青い箱には銀色のスリーブがかぶせてあることを忘れずに。

 (余談だが、私がはじめてみつけた四つ葉のクローバーは、今でもサン=テグジュペリ『夜間飛行』の文庫本のページに挟まっている。以上、私の乙女チックな側面でした(笑))




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