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乱読乱文多謝 静岡史跡探訪ver.

スーパーカブと、史跡と、ときどき読書感想文

人生を凌ぐ一行について —芥川龍之介

 「人生は一行のボードレールにも若かない」

 これは、芥川龍之介の『或阿呆の一生』冒頭あたりの、有名な一文である。これをどう解釈するのか、短かい文ではあるが、簡単な仕事ではない。

 文字通りに、ボードレールの詩行に人生以上の価値を見出す、という意味で読むことは勿論可能だ。しかしさらに、ボードレールを単に「詩人」、あるいは「文学者」、さらには「芸術家」全般を代表するもののひとつとして捉えるならば、これはボードレール称賛の言葉という範疇をこえて、「芸術至上主義」的な美学を端的にあらわすものだと読むこともできるし、たぶん、こちらの方が著者の意図をよく理解した解釈だといえるように思う。

 さらには、その「芸術至上主義」を肯定的に、つまりこれこそが文学者のとるべき道なりという意味でこの言葉がいわれているのか、あるいは逆に、文学ににしか価値を見出せず、実人生に本来見出すべき価値を見出せずにいることの異常さをを、自嘲の意味もこめていおうとしているのか、これもまた意見のわかれるところであるといえるだろう。まあ、その両方だ、とするのが妥当ではあると思われるが。

 どうあれ、この一文が、実際に私の人生において、大きな意味をもってきたこと、これは確かであり、そして、では私としてはこの一文を最終的にどう解釈するのか、その答えを未だ見出せていない、という意味で、これから先も私にとっては意味深いものとして在り続けることになることも、どうやら確かである。

 ところで、私のこれまでの乏しい読書経験において、この一文のような、深く考えされられたり、強く印象に残った文章、というものは他にもたくさんある。私の習慣として、そうした一文に出会ったときには、すぐに鉛筆で傍線を引き、ページを折ってしまうので、本棚から既読の本を引っ張り出せば、すぐにそれをみつけることができる。

 そこで、またしても読書時間の絶対的不足という現状に対応するために、こうした、「人生を凌ぐ一行」といってしまっては少々大袈裟だが、私の心に残った一文を、私の感想なども添えてご紹介していきたいと思う。一応、当ブログは読書ブログということになっているので、その体裁は保ちたい、というところでの苦肉の策とでもご理解いただければ幸いである。本当は、ちゃんと一冊を読んで、その読後感想をかきたいのだけれど、まあ、乞う、ご期待。


 今回の「人生を凌ぐ一行」を読める本。




河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)
(1968/12/15)
芥川 龍之介

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 これはもう、今更ご紹介もなにもないですね。芥川晩年の作品集。何度でも読みたい一冊です。芥川は、その後の日本文学の方向性に大きな影響をあたえた、とても重要な作家だと、私は考えております。

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